少し前まで、私はよく不安になっていた。
何か言われるんじゃないか、とか、
機嫌が悪くなるんじゃないか、とか。
そうなる前に、
どうにかして整えておかないといけない気がしていた。
先回りして考えたり、
必要以上に説明したり。
そうやって、空気を崩さないようにしていたんだろうな、と思う。
ある朝のこと。
前の日に、お金のことで新しいルールを決めた。
本当は、そのことで何か言われるかもしれないと思っていた。
少し身構えていた。
でも、何も起きなかった。
そのとき思った。
不安って、必ず現実になるわけじゃないんだ。
それから少しずつ、やり方が変わってきた。
例えば、
聞かれたことに、必要な分だけ答える。
それ以上は説明しない。
相手のために、余計な補足をつけない。
最初は少しドキドキした。
これで大丈夫なのか、と思った。
でも、大丈夫だった。
もうひとつ、はっきりしてきたことがある。
誰かの感情を、私が調整しなくてもいいということ。
不機嫌も、ため息も、
それはその人のもので、
私の仕事ではない。
境界線って、強く言い返すことだと思っていた。
でも、そうじゃなかった。
何も言わなくてもいい。
ただ、踏み込ませないだけでいい。
「勝手に触らないで」と言えた日もあった。
でも、それ以上に、
何も言わずにそのままにしておいた日もある。
どちらも、自分を守る行動だった。
最近は、
相手の反応よりも、
自分の状態を見るようになってきた。
疲れているときは休むし、
無理なことはやらない。
説明するよりも、
先に自分を整える。
そうしているうちに、
何かが大きく変わったわけではないのに、
過ごしやすくなってきた気がする。
境界線は、
戦わなくても引けるものだった。
そう思えるようになってきた。

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